
Q:Vision Forest(VF)の取り組みの背景についてお聞かせください。
A:当社は持株会社として9つの事業会社を傘下に持っていますが、2003年来、できるだけ事業会社の自主自立を尊重するという経営方針のもと、グループ全体の成長を推進してきました。しかし、変化の激しいマーケットにおいて積極的なグローバル展開を図るためには、グループ全体の総合力を高めていく必要があります。我々の言葉でいうと「One AK(ワン・旭化成)」経営、すなわちグループとしての強みを生かしていく経営と、それを実現する仕組みや制度が求められているのです。そこで、まずは持株会社の機能部門が力を合わせて新しいグループの姿を描き、その実現に向けて全体で動き出そう、という取り組みを始めました。その頃に出会ったのがVFだったのです。
Q:VFをどういうところで活用されたのでしょうか。
A:本格的にOne AKに取り組もうとしたときに改めて気が付いたのは、当社の機能部門、すなわち経営戦略、人事、情報システムなどのいわゆる管理部門同士が、あまりお互いの仕事を知ることなく、縦割りで各自の業務をこなしていたという現実です。事業会社の当該部門とはコミュニケーションしていても、持株会社内での横の連携はほとんど意識されていなかったのです。これでは、「One AK」の構想など描けない、なんとかまずは持株会社内での一体感を醸成し、一つの目標に向かって動くチームにしていくことはできないだろうか、と問題意識があり、そこでVFの手法を使ってみよう、ということになりました。
Q:具体的にはどのようにVFに取り組まれましたか?
A:もともと各機能部門の責任者が集まってOne AKの姿を描き、中期経営計画策定に向けて具体的な施策を議論するための会議体、「持株意見交換会」の立ち上げを検討していたのですが、漫然と会議をして飲み会を繰り返していても、これまでの状態からは脱却できない、と考えていました。そこで、シグマクシスさんのファシリテーションのもと、VFの「絵を描く」→「議論する」→「絵を描く」→「議論する」というステップを、会議体の節目に挟みいれて議論を進めていく、という形にしたのです。
Q:社内の会議体そのものをVFのシナリオに則って進めていく、という形ですね。
A:そうです。どんなに会議を繰り返しても、お互いの仕事を知らない、お互いの想いを知らない、という距離感と信頼関係の中では、本当に意義のある成果は出せないと思ったのです。議題をこなすだけではなく、並行してチームの関係性を構築し、熟成させていくことが、新しい旭化成の姿を描き出すためには重要なのではないかと。何か新しいことにチャレンジしようとするときに本当に大事なのは「同志がいる」ということだと私は思っていましたので。