Vision Forest
Core Program

プログラムのアプローチ

新規事業開発、次世代リーダー育成、イノベーション創発型組織への変革など、個社のテーマに応じてプログラムを設計

ヒトと組織に「5つの要素」で働きかけ、事業成果を増幅させる

プログラム責任者インタビュー(Q&A)

齋藤 立
ディレクター

大手戦略コンサルティングファーム、米コロンビア大学MBA、投資ファンド(NY/東京)を経て、シグマクシスに参画。CEO補佐を務めた後、現在、ディレクター。戦略立案に留まらず、現場を巻き込んだ企業変革を得意とし、アートを活用した新しい変革支援プログラムであるVision Forestの立ち上げなど、シグマクシス独自の価値創造に注力している。50社を超える人財・組織変革案件で実績。
TED Speaker - Ritsu Saito "Finger-painting with CEOs"

第1回:アーティストと経営コンサルタントが手を組んだ理由

Q:Vision Forestとはどのようなプログラムなのですか

A:事業・組織変革を、コンサルティングとアートを活用して加速するシグマクシス独自のプログラムです。具体的には経営者や社員が業務における自らのビジョンや想いを描き対話するセッションからスタートし、各々が目指す姿を実現するプロセス全体を、設計・推進します。 この領域のパイオニアであるアーティストと経営コンサルタントとの共同作業により生まれた全く新しいアプローチで、経営幹部の方から「こんなに感性を刺激されたのは数十年振りだ」と驚かれることもしばしばです。

Q:なぜこのような取り組みを始めたのですか

A:そもそもシグマクシスは、従来型のコンサルティング手法に限界を感じ、事業価値創造のためにより新しいアプローチを見出したい、という想いを持った人間が集まって生まれた会社です。会社設立直後から議論を重ねる中、従来の変革がうまくいかないケースの多くで、「そもそものビジョンを共有するプロセスを省いていきなりアクションと数字だけを追ってしまうこと」が、問題の根となっていることが見えてきました。Vision Forestには、参加メンバー各自が、組織のビジョン実現にどのように貢献出来るかを主体的に考えコミットするプロセスが組み込まれており、一見、回りくどいようでも、最終的に全社変革のエネルギー、スピードが飛躍的に高まる、というのが我々の実体験です。

もう一つ、人財の「創造性」を引き出す実践的アプローチを創りたいという想いもあります。今、イノベーションという言葉があらゆる場所で使われる一方で、その方策を具体的に示したものは極めて少数だと感じています。創造のためには、最低でも1)自分が無意識に設定していた「枠」や「制限」を外し、自らの内にあるアイデアを引き出す、2)周囲と高度に連携しながら、アイデアを価値に落とし込む、という2つの流れが必要で、いずれも、自分を知り、他者を深く知ることが成功の前提となります。Vision Forestには、この前提を満たすための仕掛けが組み込まれています。

Q:個人的にはどのような想いでプログラム立ち上げに取り組んだのですか

A:実は私も以前は、大手の戦略コンサルティング・ファーム、そして投資ファンドと、徹底的にロジック、数字で考え、コミュニケーションすることを問われる仕事をしてきました。

その一方、私自身は、大きな声では言えませんが、もともと直観で動くタイプで、ロジックだけのコミュニケーションに息苦しさを感じていたのも事実です。いまから7年前、友人の紹介で、現在の事業パートナーであるホワイトシップ社のアーティスト谷澤邦彦さん、社長の長谷部貴美さんと出会ったとき、自分が長い間、押さえ込んでいた感性や、創造への欲求が湧き上がってくるのを感じ、週末に彼らと共に時間を過ごしたり、自分でも創作をするようになりました。そして次第に、アートの領域がビジネスにもたらす可能性について考えるようになりました。当時から、ホワイトシップには、アートの力に関心を持つ経営者・企業から、相談やプロジェクト依頼が広がり始めていたため、彼らにとってもビジネスや経営領域の知見が必要であり、そのような中でお互いに知恵を交換し合う機会が増えていきました。

シグマクシスが本格的な立ち上がりを迎えた2009年初旬、あるお客様から単なるコンサルティングにはもう必要性がない、事業を超えて組織や社会を活性化するようなアプローチはないか、という問いをいただいた事をきっかけに、これまで温めていたVision Forestというプログラム構想の本格的立ち上げを決意しました。そこから嵐のような1年半、ホワイトシップ、および社内の仲間と共に、構想の実現に取り組んできましたが、共感・応援して下さる多様な企業の方々、経営幹部コミュニティーの広がりもあり、プログラムが日々、豊かに発展しつつある実感があります。

Q:アートを活用する、というのは具体的にどのようなことなのですか

A:セッションを体験する前の方には、あまり多くの事前説明はしないようにしています。これまでの経験からも、本人が体感する前に頭で「知ったつもり」になることは望ましくないと分かっているためです。多くの場合、導入を検討している方には、弊社で毎月実施している「Vision Forest体験セミナー」へのご参加をお勧めしています。実際は、お客様と我々ビジョンフォレスト・チームが同じ場で、ワン・チームとして取り組むVision WorkshopおよびVision to Actionという2つのセッションが、このプログラムの根幹をなしています。

Q:プログラムの取り組みゴールは何ですか

A:具体度の差はあれ、組織は皆、実現したいビジョンや、目指す姿を持っています。それを可視化・共有し、実現のためのアクションを作り込み、やり遂げる、そのプロセスを加速させる、ということがプログラムのゴールです。その意味では人間が絡む限り、あらゆる事業、テーマで活用が可能だと思っています。今、お話をいただくことが多いテーマは、経営幹部のビジョン共有、部門横断プログラムの推進、イノベーションを起こす組織の土壌作り、成長戦略の策定と落とし込み、次世代リーダー育成などです。

Q:体験した企業の方はどのようなコメントをくださるのですか

A:企業内部では通常起こらない新しいコミュニケーションと創造の可能性を感じる、とおっしゃる方が多いです。自分が他の役員と実は深く話していなかったことが分かった、同僚の情熱に触れて変革にむけた勇気が湧いた、そもそも自分がもっていたビジョンを再認識できた、などという声も多く、またプログラムを進める過程で、参加者は皆、自分はどのように組織のビジョン実現に貢献出来るのか、何をアクションするのかを考えるようになります。プログラムの終了後、これまでコンサルタントは嫌いだったが、今回は違った、一切やらされている感がなく、皆で深い討議ができた、と役員に声をかけていただいたこともありました。

Q:自社内で最初に導入するには勇気がいりそうですね

A:現在はマス向けの宣伝は行わず、事前にワークショップを体験いただき、Vision Forestのエッセンスを理解くださった経営者、経営幹部の方に絞って、具体的なお話をさせていただいています。面白いのは、アートに苦手意識が強い方でも、「会社を変えたい、良い場所にしたい」と事業の最前線で働いている方が、一番強く反応してくださる点です。そして、その企業内で参加された多くの方も同じように反応されるのです。参加者の変化を目の当たりにし、信頼関係を築きながらそのような方とプログラムを設計・実行してゆくプロセスは、それ自体エキサイティングで、ときにこれが仕事であることも忘れます。強い想いをもって導入してくださった方が、喜んでくださったときは、チーム全員、充実感でいっぱいになります。

第2回:Vision Forestを組織に展開する

Q:シグマクシスでは、自社の立ち上げプロセスから現在に至るまで、社内でもVision Forestを活用していますね

A:"Sell What We Use"という言い方をしていますが、我々がお客さまに提供しているものの多くは、先に自らが徹底的に社内外で活用して有意義だと判断したものです。Vision Forestはその典型で、会社設立後、初めて役員全員を集めたパートナー合宿の冒頭で、ビジョン共有のためのワークショップを行い、パートナー全員が、「シグマクシスで実現したいこと」のイメージを、描きました。その作品群は、社内でシェアできるようにオフィスの中心(マーケット)に展示してあり、来訪されたお客様にも見て頂いています。

Q:なぜ最初に役員から実践したのですか

A:私は当時、CEOだった倉重の補佐として合宿の準備から関わっていたのですが、ある日、ふと閃いて倉重に直訴したんです。合宿の目的がビジョンの共有と次のステップ設計なのであれば、Vision Forestというアプローチを今創っているので、活用させて欲しいと。

倉重は黙って聞いた後で言いました。「話を聞いただけでは、俺にはよく分からない。アートがどう効くのかもまだイメージできない。で も、何かありそうだから、やってみようか」

後で振り返ってみると、「わからない、だからやらない」ではなく、「わからない、でもやってみる」という姿勢が、新しいことを起こすための、ひとつの分岐点だった気がします。結果的に、合宿はものすごい盛り上がりになり、終了後は多くのパートナーから、「冒頭のVision Forestのアプローチによって、全員でお互いの事業に対する想いを共有できたことで、その後の事業モデルや経営課題の議論も深まった。経営陣としてのビジョン共有も大きく進んだ」という声が寄せられました。

Q:役員セッションの後、組織へどのような展開がありましたか

A:パートナー全員の作品を社内の広場(マーケット)に飾ることで、今度は社員から強い反響がありました。組織の目指す方向性がイメージできた、モチベーションが湧いた、というだけでなく、自分でもやってみたい、という声が多くありました。結果として、それから1年で延べ200枚近い作品が、社内から生まれました。その中で、一人一人がプロとして何を目指すのか、何が足りないのかを問い、ビジョン実現にむけて具体的な行動に落とし込むプロセスは今も続いています。

また、戦略チームの有志が「Vision Forest夏の陣」という名称のイニシアティブを立ち上げ、週末、3回にわたって自分と組織のビジョンに向き合い、それを実現する道筋を描く集中セッションを行いました。さらにその参加者であったパートナーのひとりが、自分の担当チームで同様のセッション「Vision Forest冬の陣」を企画しました。答えのないこれからの時代、ビジョンはトップが示すだけではなく社員自らも描き続けるもの、という前提で、いかに自己実現と、社会・組織への貢献との接点を見出して行くか、が大きなテーマになります。ここで実践している1つ1つの仕組み、そして波及方法は、お客様の現場でもそのまま実現可能な内容です。

Q:シグマクシスとしては、Vision Forestを用いることで究極的には何を目指すのですか

A:シグマクシスは「コラボレーションに基づくイノベーション」の実現を目指した会社です。その意味で、Vision Forestはシグマクシスの理念を体現する一つのあり方だと思っています。また、個人的には、このプログラムを通じて、企業の仕事の現場をもっと、創造的で刺激的な環境にできれば、とも願っています。アーティストの谷澤くにさんの言葉を借りれば、ビジネスのアート化、経営者のアーティスト化です。誰もが自然体で想いを描き、それを共有し、実現に取り組む職場であれば、毎日、喜びと感謝の気持ちを持って仕事ができそうな気がしませんか?

第3回:Vision Forestが目指すもの

Q:そもそも「ビジョン」の定義とは何ですか

A:いろいろな考え方がありますが、私は「ありたい姿(Being)と成し遂げたいこと(Doing)を重ね合わせたもの」がビジョンだと捉えています。ありたい姿が明確になる過程で、何を成し遂げたいかも明確になります。

Q:正直、一般にビジョンと言うと、お題目、きれいごと、実行されない、という印象も持つのですが、なぜ多くの企業でそういうことが起きるのですか

A:典型的には2つのケースがあると思います。そもそもビジョンがあるようで実は明確化できていないケース、そしてビジョンが明確でも、個人、組織が実行にコミットしていないケースです。前者については、言葉としてのコーポレートビジョンや社則がホームページに載っていても、それが、その会社にしかない「個性」を体現し、社員の気持ちをまとめる効果までは持ち得ていないケースがあてはまります。また、過去にはカリスマ型の経営者の下で成長してきた企業が、その引退後、新たな方向性を見出せずに迷われる例もあります。

後者については、仮に経営者のビジョンが明確でも、それが社員の意識や、日々のオペレーションに反映される仕組みがなく、経営と現場が乖離しているケースが典型です。

ただ、ビジョンが実行されない会社、というのはよくよく突き詰めて観察すると、実はビジョンより他のもの(たとえば事業数字や社内政治)を大切にしてきたという単純な事実が見えてきます。逆に言えば、本当にそのビジョンを実現したい、と皆が思ったら、かなりのことは成し遂げられるのではないでしょうか。

Q:時代の変遷とともに、ビジョンの持つ意味合いが変わってきているということもありますか

A:大きく変わってきていると思います。高度成長期の組織の多くは軍隊型で、一矢乱れず命令どおり兵隊を動かすための大方針をビジョン、と呼んでいた例も多くあり、その場合、ビジョンはトップが定めればそれで済むものでした。またこの時代においては、トップダウン型のビジョン設定は、社員の期待にも合っていたとも言えます。

一方で現代の経営、特にプロフェッショナル型組織の経営においては、優秀な社員の獲得・育成は経営の根幹である一方、そのような社員は、組織のビジョンと自分がやりたいことの接点が明確にならない限り、動きません。トップだけでなく社員が当事者としてビジョンに向き合うための仕組みを作らなければならない。一方で、そのビジョンは、会社を差別化し、市場の競争に耐え得るものでなければならない。ビジョンを描くことの難易度と重要性は、過去に比べてもはるかに高まっていると思います。

Q:今後、組織のビジョンと個人のビジョン、どちらが大切になるのでしょう

A:どちらも重要というのが答えですが、特に今後は、個人のビジョンについてもその質、成熟度が問われるように思います。カリスマ型、トップダウン型でないモデルを志向するのであれば、一人一人が、自らのビジョンと向き合わざるを得ません。組織と同様に個人も、言うだけでやらない、描くだけで実行しない、という状態から抜け出る必要があります。

Q:Vision Forestは組織・個人のビジョンにどう働きかけるのですか

A:このプログラム自体は、元々、組織全体を考えた上で、組織における個人一人一人に働きかける形で設計されています。しかも、コンサルタントが何かを押しつけるのではなく、全ては参加者が自分で描き、気づき、行動することになります。つまり、Vision Forestは企業の変革ニーズに応えることが出発点にはなっていますが、その核となるのは個人の「あり方」を働きかけるプロセスです。

ちょうど先日、ある本を読んでいて、心に残る一節がありました。
"「どうあるか」は「何を言うか」より、大切な教えであり、しかも世界を変えるのに、ずっと威力のある触媒なのです。「なにをするか」よりも、もっと重要です。"

少し大げさかもしれませんが、プログラムを通じて、多くの経営者や社員が「どうありたいか」「何を為したいか」をより、深く認識し、実行に踏み出すことができれば、それは単一事業をこえた社会的な意義も含んでいると思います。まだ我々のプログラムも、我々自身もここからが本当の成長フェーズですが、全ての過程を楽しみつつ、真摯にVision Forestを育てていきたいと思います。(了)